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REFRACTORIES COLUMN
耐火物COLUMN

耐火物と温度の関係。それぞれの温度にはこんな秘密があった!

2025.04.21
#耐火物
#品川リフラクトリーズ

耐火物と温度の関係。それぞれの温度にはこんな秘密があった!

火に耐えると書いて耐火物。その名の通り加熱されても形状や強度を保ち、高温に耐えられる性質をもった材料を意味します。身近なところではバーベキューグリルに使われる耐火れんがや耐火セラミック、重工業の第一線では鉄を作るための溶鉱炉に内張りする耐火れんがなど、その種類や用途もさまざまです。現存する耐火物が耐えられる最高温度は3,000℃程度と言われていますが、一般的に高温に耐えられるものほど高価になるため、製造業の現場では必要以上に高温に適応できる耐火物を使用することはありません。

家庭ごみを安全に燃やすには

各家庭から毎週大量に出されている可燃ごみ。収集車で回収され、ごみ処理施設に到着すると、クレーンで焼却炉へ投入され焼却されます。ごみに含まれるプラスチックや塩化ビニルは熱によって化学反応を起こします。焼却炉の温度が低いとダイオキシンなどの有害な化学物質が発生する※1ので、焼却温度を800℃以上、理想的には1,000℃前後に保つことが推奨されています。また有害物質の分解を進めるにはごみをできるだけ完全燃焼する必要があるため、燃焼効率を高めることも重要です。

※1ダイオキシンは200℃以下または800℃以上では発生しませんが、高温にしすぎると炉が傷む危険があります。

ごみ処理施設では高熱に加えて化学的浸食にも耐えられる素材が必要なうえに、燃焼効率を高めるために複雑な形状の炉が採用されています。炉壁や床の複雑な形状に沿って内張りができるように、固形の耐火れんがと、施工現場でそれぞれの形状に合わせて施工される粉粒体や練り土状の不定形耐火物が組み合わせて使われています。また、材質としても一般的なアルミナ・シリカ質だけでなく、化学侵食に強い炭化ケイ素質の耐火物なども使われています。

鉄鋼製造に必要なのは幅広い種類の耐火物

鉄は、鉄鉱石に含まれる酸化鉄を高温下で還元して作られます。鉄を製造するための高炉には1,500℃程度が必要になります。他にも、取り出した鉄を用いて鉄鋼を製造したり、鋳造する工程でも、溶けにくく割れにくい、熱を伝えにくいといった性質を持つ何百種類もの耐火物が各設備の操業条件や用途によって使い分けられています。

溶鉱炉の内壁には、酸化に強い炭素含有耐火物や、耐摩耗性に優れ熱衝撃にも耐えられる炭化ケイ素含有耐火物なども使われています。また炉そのもの以外にも、鉄鋼製造時の高温から装置を守るために、機械部品に塗布する塗料にも耐火性の素材が必要となります。こうした耐火物の選定は、炉内の温度や発生する化学反応、炉の使用期間やメンテナンスの必要性など複合的な要因を考慮して行われています。

ベストな耐火物の提案のために

ひとことで耐火物といっても、使用目的や環境条件、操業期間によって必要とされる材料はさまざまなので、用途に応じた選択と組み合わせが必要になります。品川リフラクトリーズでは顧客企業からの細かなニーズに最適なソリューションを提供できるよう、豊富な知識と経験を元に耐火物のスペシャリストとして日々技術力の向上に励んでいます。

参考文献:
耐火物協会、耐火物技術協会「耐火物業界広報資料」
https://www.tarj.org/wysiwyg/file/download/1/5585 (2024年10月29日閲覧)